ここ数年、人事担当者の方とのお話の中で、特に課題として挙がることが多いのが「若手の採用」です。少子化による人手不足に加え、転職活動の多様化により、若手採用はこれまで以上に難しくなっています。
そこで!
リアルな転職事情を探るために、テンプスタッフフォーラムPR大使の石那田 睦(いしなだ ちか)が、20代女性に転職経験についてインタビューを行いました。
・どのように転職活動を進めたのか?
・どんなサービスを利用したのか?
・具体的な転職手法とは?
これらの質問を通じて、若手採用成功のヒントを探っていきます。
また、調査データに基づいた20代・30代のリアルな転職方法や、若手人材の中途採用に成功した企業の事例も併せて、動画とレポートにまとめています。
以下の動画では、約3分で「20代・30代のリアルな転職事情」についてご紹介します。ざっくり概要を知りたい方はまず、動画をご覧ください!
そしてここからはレポートとして、20代女性の転職活動インタビュー、データで見る若手の採用状況、若手採用の実例などについて、わかりやすく解説します。
若手の転職事情とは?20代女性にインタビュー!
20代女性のリアルな転職活動を理解するため、実際にインタビューを行いました。
転職のきっかけから転職活動、転職に至るまで、詳しくお伺いしました。
転職のきっかけ:前職への不満?キャリアアップのため?
まずは転職前の状況を教えてください。 |
転職時は25歳で、沖縄県に住んでいました。前職は不動産関連商材を扱う営業でした。 | |
転職を決意した理由を教えてください。何かきっかけはありますか? |
きっかけは2つあります。1つは現職への不満、2つめはキャリアアップのためです。 | |
1つめの現職への不満とは、どういったものだったのでしょうか? | |
直属の上司がパワハラ気質だったんです。相手を変えるのは無理なので、自分が居場所を変えようと思いました。 具体的には、ミーティング中にマネージャークラスの社員に対して、「夜間や休日でも上司からの連絡を見ないのはありえないことだ」と話していたんです。 パワハラだとも感じましたし、プライベートに干渉されそうで嫌だなと思いました。それと同時に、ここでは昇進したくない、キャリアアップは他で目指した方がいいかな、とも思いました。 |
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そうだったんですね。 2つめのキャリアアップについてはいかがでしょうか? |
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営業職だったのですが、2種類しか商材がなかったため業務に対する面白みを感じませんでした。 上司に対する不満もあり、1つの会社にこだわる必要はない、他の場所でキャリアを積んだほうが良いかな、と思い転職を決意しました。 |
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新卒で入社した会社で、終身雇用については考えなかったのでしょうか? Sさんの友人など、周りの方はいかがでしょうか? |
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私も含め、同年代の人たちは、終身雇用について考えている人は多くないと思います。 今の仕事の中で自分ができることの数を増やすことが武器となり、終身雇用でなくても生きていく道につながると思っています。 |
若手の転職方法:転職活動に利用したサービスは?
続いて、転職活動に利用したサービスについて教えてください。 転職活動を始めるにあたり、まず何から情報を集めましたか? |
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転職経験のある先輩に相談したり、Webサイトで検索したりして情報収集をしました。 | |
転職の際にはどんなサービスを利用しましたか? | |
転職サイトと転職エージェントです。 就職活動時に新卒向けの求人情報サイトへ登録しているので、特に抵抗もなく同じ感覚で登録しました。 |
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ちなみに、ハローワークは使わなかったのでしょうか? | |
はい。ハローワークは以下の理由から使いませんでした。 ・利用できる時間が平日10時から17時だったこと ・転職サイトへ有料広告を掲載している企業の方が採用に熱意を感じられること |
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転職サイトや転職エージェントは平日以外の対応もあったのでしょうか? | |
はい。勤務時間外に対応してもらえました。 仕事をしながら転職活動をしている場合、勤務の時間帯にハローワークに行くことは不可能です。転職エージェントは夜間や土日、昼休みでも受け付けてもらえましたし、電話相談もできたので助かりました。 |
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もうひとつの理由、有料求人広告の方が熱意があるという点についてもう少し詳しく教えてください。なぜそのように感じられるのでしょうか? | |
転職サイトや転職エージェントはビジネスとして転職を支援しているので、料金を支払って求人広告を出す企業のほうが良い人材を求めている可能性が高いと感じました。 | |
転職エージェントとハローワークの違いについて、ほかにも感じたことがあれば教えてください。 | |
転職エージェントの担当者は親身な対応で「採用を実現させたい」という意思を感じました。採用が実現すれば担当者の実績になり、会社の利益にもなるでしょうから、それも関係あると思います。 それに対してハローワークは行政機関なので、採用が実現しても担当者に対してのメリットはないと思います。そのため、転職エージェントほど親身にはなってくれないんじゃないかな、と感じていました。 |
転職エージェントは勤務しながらの転職活動をサポート
転職エージェントの対応について詳しく教えていただけますか? | |
細かい企業情報や、面接で質問されやすい内容・回答例などのアドバイスをもらえました。 自分で調べるだけでは得られない情報なのでありがたかったです。いろんな人を紹介した経験や、企業データがあるエージェントならではのアドバイスだと思います。 また、自分では聞きづらい条件面などもエージェントを通して確認できたので助かりました。 |
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ほかにも転職エージェントを利用してよかったと思ったことはありますか? その理由も教えてください。 | |
現職の仕事を続けながらの転職活動は時間的な制限がありますが、エージェント担当者が時間調整をしてくれるので助かりました。 また、現職の仕事と転職活動の両立にはかなりの労力がいるので、「やるべきことがちゃんとできているか、抜け漏れがないか」などをサポートしてもらえるのは安心感がありました。 |
企業情報の集め方:採用ページでは何を見る?
転職活動の際に、企業の情報はどのようにして集めましたか? | |
転職サイトやエージェントからの紹介のほか、転職サイトで自分の希望条件を絞り込んで検索したり、企業のホームページや採用ページを見たりして情報を集めました。 企業情報で主に見ていたのは、事業内容や取引先などです。ほかにも口コミサイトで気になった会社の口コミを探して見ていました。 |
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事業や取引内容に興味があっても応募しなかった企業はありますか? | |
いい会社かも!と思ってもその会社の採用ページに情報がないために応募しなかった会社もありました。 例えば、 ・採用ページに条件面の記載がなく「お問い合わせください」のみが書かれている ・そもそも採用ページがない など、その会社で仕事をしているイメージが湧かず、スキルアップにつながるのか不安だったため、応募はできませんでした。 |
転職活動から転職先決定までのプロセス
最終的にはどの転職サービスを利用して転職を決められましたか? | |
転職エージェントからの紹介で転職しました。 |
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憧れの会社に転職できてよかったですね。これからのご活躍を応援しています! 参考になるお話をありがとうございました! |
データで見る若手の採用
ここからは、若手採用の課題について、データに基づいて見ていきましょう。
まず注目すべきなのは、若手の転職活動の特徴です。先ほどのインタビューにもあるように20代・30代の方は、新卒での就職活動時に複数の求人サイトに登録しているため、転職活動においても同様に、求人サイト・転職サイトへの登録を自然な選択肢と考えています。
同時に採用市場全体の変化も見逃せません。厚生労働省によると、2013年度の有料人材紹介会社数は約17,000社でしたが、2023年度には30,113社まで増加しています。
このように人材紹介会社が大幅に増え、サービスも細分化されている中、採用はより多くの投資と戦略が必要な分野となっています。
さまざまな角度からデータを集めてみたので、若手採用の課題をしっかりと読み取っていきましょう! |
1. 若手の転職活動は、求人・転職サイトが定番
若手の求人・転職サイト利用状況を詳しく見てみましょう。ハタラクティブ 若者しごと白書2024によると、18歳~29歳の正社員・フリーター551人を対象とした調査で、転職時の「企業探し」に用いた手段・利用サービスは、求人・転職サイトが53.2%。ついで18.3%が就職・転職エージェントでした。
出典:ハタラクティブ 若者しごと白書2024 33P
このデータから、若手の半数以上が求人・転職サイトを主要な情報源として活用していることがわかります。
若手は、求人・転職サイトに登録することが、転職活動の第一歩なんですね! |
2.サービス別データ:ハローワークと民間サービスの利用率変化
雇用動向調査を基にした内閣府のデータによると、2013年から2023年にかけて、求人広告と民間職業紹介所の利用率が34.6%から38.6%へと増加しました。一方、ハローワークの利用率は26.7%から15.1%まで減少しています。
出典:内閣府「2024年1月:月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(厚生労働省「雇用動向調査」により作成)」6P
この傾向は厚生労働省の統計(※)とも一致しており、ハローワークにおける新規求職申込件数は、2013年の約620万人から2023年には約440万人に減少しました。
※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」表内通番7:新規求職者数(Excelデータ)
まだまだハローワークでの新規求職者は少なくないですが、少し潮流が変わりつつあるかもしれません。 |
3. 年齢別データ:ハローワーク利用者層の年齢別分布
ハローワークを活用している求職者はまだまだ少なくありませんが、若手の採用に苦戦しているという声も多数いただいております。
そこで、厚生労働省が発表している全国のハローワークにおける2023年度・年齢別求職者数データを分析してみました。
<全国>
出典:厚生労働省:一般職業紹介状況(職業安定業務統計):雇用関係指標(年度)
3.有効求職者数・新規求職者数データ
同発表によると、2023年度のハローワークにおける「新規求職申込件数」の年齢別割合は、20代が16.91%、30代が16.88%と少なくはありません。
しかし、年齢が上がるほど利用率が増加する傾向があり、特に60代以上の利用率が27.3%と高く、全体の4分の1以上を占めています。
ちなみに、男性の高齢者(60代以上)の利用率は特に高く、36.7%です。これらの傾向は、ハローワークを通じた若手採用の難しさを物語っています。
4.地域別データ:地域によるハローワーク利用率の傾向
また、テンプスタッフフォーラムがオフィスを構える5地域(新潟、北陸、山陰、四国、沖縄)のハローワーク利用率(2023年度)を分析してみたところ、沖縄県以外は全国とほぼ同様の傾向でした。
沖縄県のみ、「新規求職申込件数」における60代以上の割合が25%以下と低く、全国とは少し異なる割合でハローワークが利用されています。
これらのデータから、全体的な傾向としてハローワーク利用者は減少傾向にありますが、年齢構成では、20・30代が全体の30〜40%の割合という傾向が続くと予想されます。
沖縄県だけ傾向が違うのもデータとして面白いですね。 地域の特性を理解することが、効果的な採用につながるかもしれません。 |
【若手採用の成功事例】テンプスタッフフォーラムの取り組み
テンプスタッフフォーラムでは、実際どのように若手人材の採用をサポートしているのか、中の人にインタビューしてみました!
若手人材の採用について、どんな事例があったか教えてください! |
テンプスタッフフォーラム福井オフィスの事例をご紹介します!
今年(2024年)の4月に、ある企業さまから「若手の女性を採用したい」というご相談を受けました。 また、テンプスタッフフォーラムに派遣就業していた26歳の女性より「正社員になりたい」と以前から伺っていたので、その方を紹介予定派遣でご紹介しました。 |
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その企業さまが若手人材を求めていたのは、どのような理由があったのでしょうか? | |
従業員の平均年齢が高くなってきたので、このままでは退職時期が重なってしまう、と心配されていたようです。 ハローワークでパートの求人を出しても「若手の応募がこない。従業員と同じ年齢層しか応募がなかった」とおっしゃっていました。 |
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派遣スタッフさんは、どのような反応でしたか? | |
その女性スタッフには「派遣で事務を一年経験したら正社員になりたい」という希望があったんです。 「面接を受けてみる?」と聞くと、「テンプさんが紹介してくれるなら受けたい!」と喜んでいました。 彼女は派遣スタッフだった1年間で事務スキルを磨いていたので、先方が求める人物像とピッタリだったんです。 既に派遣で働いてもらっていて「どういうスキルがあるか、どんな業務が得意か」を把握できていたので、自信を持ってご紹介できました。 企業様にも「テンプスタッフフォーラムさんで就業していた人なら安心です」とおっしゃっていただけました。 |
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紹介予定派遣であれば、派遣スタッフとしてスタートしたのですね。その後、どうなりましたか? | |
当初の予定よりも早い就業後1、2カ月のタイミングで「いい人だから、すぐにでも採用したい!」と仰っていただき、入社試験を経て、6カ月後(10月)にめでたく直接雇用への切り替えが決まりました。 | |
若手採用が難しいといわれる中、企業と求職者のマッチングが上手くいった事例ですね。 ご回答ありがとうございました! |
若手の採用戦略は企業によって大きく異なる
ここまでは「若手の転職活動の傾向」を見てきましたが、最後に若手の採用戦略について考えてみましょう。
実は、採用戦略は企業の規模や求める職種によって大きく異なります。
1.従業員規模による違い(2025年3月卒)
・300人以上の企業…新卒求人倍率1.6倍以下
・300人未満の企業…新卒求人倍率6.5倍
引用出典:リクルートワークス研究所「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年4月調査)」2Pより抜粋
2.職種による違い(有効求人倍率の例)
職種 | 有効求人倍率 |
一般事務職 | 0.31 |
営業職 | 2.29 |
販売職 | 2.12 |
介護サービス職 | 3.50 |
運輸・郵便職 | 3.19 |
(出典:厚生労働省:一般職業紹介状況(令和6年7月分)について 参考統計表8-1より抜粋) |
上記2つのデータから、企業規模や職種によって人材の需給バランスが大きく異なることがわかります。
このように採用の難易度や最適な戦略は、企業の規模や求める職種によって大きく変わるため、以下のポイントを慎重に検討する必要があります。
・どのような人材を求めているのか
・その人材の獲得にはどのような戦略が効果的か
企業それぞれの特性に合わせた採用戦略を立てることが重要です。
また、人事担当者の方からよく伺う課題として、条件面だけで入社を決めた求職者は早期退職のリスクが高くなる傾向があります。そのため、共通して重要なのは「会社の魅力」と「企業の雰囲気」を入社前に伝えることです。この小さく思える手間こそが、ミスマッチによる早期退職を防ぎ、長期的な人材定着につながります。
だからこそ、まずはテンプスタッフフォーラムへ、自社の魅力をどうアピールすべきか?採用戦略をどう立てるべきか?など、具体的な課題についてざっくりと相談してみてくださいね!
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まとめ:若手の転職事情と採用のポイント
今回はインタビューや事例、さまざまなデータをもとに若手の転職事情についてご紹介しました。
若手の転職事情の現状は、採用現場の感覚と一致しましたでしょうか? |
■若手採用のポイント
- 若手は気軽に転職サイトやエージェントに登録している
- 若手の多くは有料人材紹介を利用しているため、採用活動への投資は必須になりつつある
- 企業規模や職種によっても異なるため、企業ごとに採用戦略を立てる必要がある
今回の事例やデータは参考になりましたでしょうか? 若手の採用は一筋縄ではいきません。だからこそ一緒に取り組んでいきましょう! |